第63回日本呼吸器学会学術講演会NBI肺聴診体験コーナー(For internal only)
第63回日本呼吸器学会学術講演会の日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社ブースでは肺聴診体験コーナーを設け約230名が肺聴診問題に挑戦しました。クイズの成績に相反して満足度は高く、好評を得ることができました。

全体の満足度は、満足とやや満足の合計で9割を超えました。

実施内容
今回は、仮想聴診シミュレータiPaxと聴診専用スピーカ聴くゾウを利用し肺音コンテンツを体験していただきました。
肺聴診体験コンテンツは、mp3プレイヤーで音を聴く問題3問と、画面上の聴診器アイコンを移動させて部位と音の関係から問題を解く形式(iPax)2問で構成。※解析結果後述
肺聴診コンテンツをご体験いただいた方には、症例解説をお配りするとともにアンケートを実施しました。
Boothで利用した肺聴診コンテンツ(画面キャプチャ)
最初に利用者属性を選択。続くページにはmp3プレイヤー問題が3問、4問目以降は画面上の聴診器アイコンを操作する問題。問題の展開は下記の動画でご覧いただけます。
Boothで配布した2次元バーコード付き解説(Q4、Q5のみ)
問題終了後に症例解説(Q4とQ5)を配布しました。解説にある二次元バーコードをスマートホンで読み取るとiPax聴診コンテンツが開きます。これにより当該症例の音を自宅で確認することができます。
これらの症例は皿谷健先生(監修医師)が実際に経験された症例で、南江堂から出版されている臨床雑誌内科に掲載されています。
参考 Q5で利用したIPF症例 両側肺と肺底部でFine cracklesを聴取
※胸部または背部の聴診部位をタップするとその部位にチェストピースが移動しその部位の音が聴こえます。音を聴くときは専用スピーカ聴くゾウかイヤホンを利用してください。
聴診専用スピーカ聴くゾウ
Boothでは聴診専用スピーカ聴くゾウを利用しました。聴くゾウを使う場合は、聴診器が必要です。医師は聴診器を装着することで「診察する態勢(真剣)」になりますが、そのことがアンケートにも記載されています。

特許(iPaxおよび聴くゾウ)
日本特許 特許第6328223号
米国特許 US Pat.11,113,990
欧州出願中
特許(聴診部位記録機能)
日本特許申請中
国際特許出願準備中
アンケート
肺聴診体験コーナーが終了した後にタブレットでアンケート調査を行いました(体験コーナー全問回答者202名中アンケート回収141名69.8%)。アンケートの記入部分は任意としていましたが、多数のご記入をいただくことができました。※結果後述
参考:SNS投稿記事

皿谷先生は、杏林大学の医局員や知り合いの教授をブースに連れて訪問。呼吸器専門医が今回のコンテンツに興味を示していることが分かる内容です。
肺聴診体験コンテンツの解析結果
Q1~Q3はmp3プレイヤーの音を聴いて答える問題、Q4~Q5は画面上の聴診器アイコンを操作して答える問題でした。それらの正答率は下記の通りです。


Q4の正解は肺高血圧
左心不全を選ぶ呼吸器専門医が多かった

テレメディカコメント;Q4は難問
Q1~Q3までの音は肺音であったため、続くQ4も医師の意識が「肺音」に向けられた可能性があります。また、対象者の多数が呼吸器科専門医であるため「肺音/副雑音」を意識したことが心音(Ⅱp亢進)の判別を困難にした可能性も考えられます。
他方、肺動脈弁部位と心尖部の心音を聴くと、2音の肺動脈弁成分が亢進しており、その点から「肺高血圧」を選択すべき問題として設置しました。
Q5の正解はIPF
約半数が正解したが、COPDを選ぶ専門医が多数いた

iPaxでは、肺側肺底部でファインクラックルズが大きく聴こえます。聴診部位が違うと聴取すべき部位から遠くなるほどに音が小さくなる仕様になっています。そのため正答率が低くなったものと考えられます。

聴診部位の分析
聴診部位の解析
今回得られたQ5回答者全員(n=202)とQ5回答専門医(n=107)を集計しました。
【結論】
1.正解者は肺側・肺底部を聴診している
2.不正解者は肺側も肺底部も聴診していない
Q5回答者全例

Q5回答者呼吸器専門医

以下は、今回のクイズに挑戦した医師の代表的な聴診部位の事例(Q5の不正解者と正解者)です。
不正解者:本来より聴診する部位が高い(肺底部を聴く意識は伺われるが、その部位が高位)
これは呼吸器専門医の記録データです。背部の聴診部位を見ると肩甲骨直下で聴いたことが分かります。この部位ではファインクラックルズはほとんど聴こえません。聴診器をあてるべき部位(肺底部)は、さらに下部であるべきです。

正解者:正しい部位で聴診している
これはQ5が正解であった研修医の記録です。正しい部位で肺側・肺底部の聴診をしていることがわかります。

データダウンロード
クイズ分析データ
Q4(Pulmonary hypertension問題)の聴診部位分析データ
Q5(IPF問題)の聴診部位分析データ
アンケート集計結果
属性は、約半数が呼吸器専門医でした

呼吸器専門医の約7割が「満足」と回答

タッチパネル操作があたらしい
面白かったです
比較できて分かりやすかった
勉強になった
音が聞こえやすかったため
やる気になる
良く聞こえていない?
難しい症例あるが重要だとう
教育などに有用
実践編であった
正解したから
音源がよくない
リアル 教育に良い
若手の勉強になる
同様の音声が共有できること
今までにない手法
聴診器を使用すると緊張感が出ていい
実際の患者に接しているようで興味深いところ
2人で確認できる
聴診器を使用 指導してもらいながらできるところ
今までにないコンテンツ
経験したことのないコンテンツ
聴診器を使用するところ
新しい学習法
ブースの音が邪魔
教育にとても有用
リアルでした
なかなかここまでの聴診を聞くことがない
このような機会に乏しい
テレメディカコメント;音質について
「音源が良くない」と言う意見がある一方で、「リアルでした」と言う記載もあります。この違いは音量の違いだと理解できます。展示ブースの周囲はノイズが多いため、時折聴くゾウの音量を増大させる人がいました。その音量を正しいボリュームに戻さず、別の人が増大した音量のまま聴いたことが音源が良くないというコメントに繋がったものと理解できます。
今回使用した音源は全て皿谷健先生が実際の患者さんから収録されたものです。録音した音源をテレメディカがノイズ処理を施してiPaxに掲載。それを皿谷先生に聴くゾウを使って確認していただいくという工程を経ており、実際の患者さんを聴診するのと同じように聴こえるように調整しています。
呼吸器専門医の8割以上が「問題は適切」と回答

少し聞きにくいものもあった
楽しい
難しかったので
適当である
多岐にわたるため
必要な情報は揃っていたから
ファインがききづらい
典型的
吸気と呼気のタイミングがわかるとなおよい
意識して聴くことを再認識するため
比較的わかりやすい
ただ聴診音聴くだけでなく、適切な部位で聴診しなければならないところ
設問が基礎から応用までるところ
丁度いい難易度
簡単でもなく丁度いい
レベル別にあっている
このような機会に乏しい
9割以上が「再び利用したい」を選択

教育によさそう
他の問題も気になるため
面白かったです
教育などに 教育上大切
研修医指導に使いたい
普段関わることの少ない所見のトレーニングとして 今までにない手法
聴診器を使用することで緊張感が出る
新しい学習法 グループディスカッション、カンファレンスで使える
今までにないコンテンツ
複数で共有できる
自己学習 カンファレンス グループディスカッション
くりかえし練習することで診断技術の向上につながる
このような機会に乏しい
アンケート集計データ
このページは2023年7月31日でクローズする予定です