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心音聴診トレーニング「ステップワイズ・アプローチ」09

解説 髙階經和先生(公社)臨床心臓病学教育研究会理事長、髙階国際クリニック院長

聴診手技を向上させるためには、限られた時間内での研修ではなく、参加者が積極的に学ぶ認知学習(cognitive learning)を行うことが重要であることは心理学的にも証明されている。Barrettは「聴診とは、反復、反復を繰り返すことが、聴診手技を身に付けるエッセンスである」と述べている1)

筆者は2008年にBarrettとのメール交信の中で、日本で開発された心臓病シミュレータ「イチロー君」の研修結果と、また彼がアメリカ心臓病学会から教育資料として開発したCD-ROM「ハート・ソング」(Heart song)や筆者が作成したDVD「心音・肺音・腹音」2)について意見を交換し、ベッドサイド診察手技の向上には、反復する事が最も大切であるという事で、意見が一致した3)

筆者がテレメディカと共に開発した聴診アプリ「オースカレイド」は今まで困難と思われてきた聴診の自己学習が何時、何処でも何度も繰り返し実習できるようになった点において貴重である。

1)Barrett MJ, Marinez M, Pieretti J. The Power of Repetition in Mastering Cardiac Auscultation. In:Finley J, ed. Teaching Heart Auscultation to Health Professionals, Method for Improving the Practice of an Ancient but Critical Skill. Vol chapter 4 of 2011 Version:Canadian Pediatric Cardiology Association(CPCA); 2011. 

2)Takashina T. Personal communication with Barrett, Sept.2008.

3)髙階經和. DVDフィジカルアセスメントのための心音・肺音・腹音.インターメディカ. 2015.


ステップワイズ・アプローチ

1974年に髙階經和先生が録音したカセットテープからご紹介しています。当時神戸大学医学部で臨床診断学を教えていた時代に制作した心臓聴診の解説です。心音・心雑音のトレーニングにお役立てください。

【解説音声】ステップワイズアプローチ16 無害性雑音

無害性雑音を説明します。S1S2に続いて、駆出性の収縮期雑音やクリック音がステップワイズにアドオンされます。

【解説音声】ステップワイズアプローチ17 動脈管開存(PDA)

動脈管開存の聴診です。S1S2の次に収縮期雑音、拡張期雑音がステップワイズにアドオンされ連続性雑音が完成します。

※ステップワイズアプローチは全31症例で構成されています。ここでは16~17を紹介させていただきました。これらの音源は聴診ポータルサイトに掲載しています。ユーザ登録をするだけで無料で利用できます。登録はこちら


学術論文抜粋『聴診は必要か?』

(T. Anthony Don Michael, M.D.;Contemporary Internal Medicine:Vo.9,No.12, December 1997)訳 髙階經和先生

CT、MRI、心エコー、心臓核医学などのハイテク技術を使った診断機器が心臓病学の範囲を大きく広げてきたが、しかしこれらの進歩の代償は、これらの機器を適切に使いこなさなければ、ドクターの臨床における判断力が失われるということになるだろう。心疾患の身体所見を臨床的に把握するために必要な診断手技は内科で研修を受けているドクターにとっては特に重要である。彼らは診断を下し、適切な心臓病コンサルテーションを行う責任を担う将来の専門医(gatekeeper)となっていくのだ。最近の診断手技について費用効果を強調するのは、紛れもなく聴診が費用効率の良い診断法であることが認められたからである。

1950年にPaul Wood は彼のテキストブック”Diseases of Heart & Circulation”の中で、次のように述べている。「既に我々は伝統的な診断技術が失われ、器械にあまりにも依存しすぎているという危機に直面しているという多くの証拠がある。臨床医学はこの傾向がチェックされなければ、被害を蒙るに違いない」。最近の発表されたデータによると、これらの先見的な予知を裏付けるものがあり、聴診を効果的に教えるという革新的な方法を見つけだす必要性に迫られている。

心筋疾患ー

拡張型心筋症や急性心筋炎では、S1が減弱するのが典型的ではあるが、心拍出量が正常な肥大型心筋症ではS1は正常である。しかしながら、S3と S4が両方とも(HCM & DCM)に聴かれる。HCMでは雑音の著名な増加(長い収縮期)と、患者が立位を取った際には心雑音の中程で偽駆出性雑音が聴かれるようになり、アミールナイトレートを与えると、更に検査をしなくても診断は確定できる。拘縮性心筋症は小さな心臓と僧帽弁および三尖弁閉鎖不全の全収縮期雑音が聴かれるが、これはしばしばアミロイド心によって起こってくるものである(注:心電図では下壁梗塞と心室瘤の所見を伴うことがある)。


オンラインで学ぶフィジカルアセスメント学習システムiPax(アイパクス)

画面に表示された前胸部イラストをアイコン操作で聴診します。アイコンが移動した部位の聴診音が再生され、心音と肺音のON/OFFを切り替えることができます。また、心拍数を変更したり、脈の触診をしながら聴診することも可能です。

iPax紹介ページ


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