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心音聴診トレーニング「ステップワイズ・アプローチ」08

解説 髙階經和先生(公社)臨床心臓病学教育研究会理事長、髙階国際クリニック院長

2004年、筆者がアリゾナ大学医学部に招かれた時、ハーヴェイ教授の弟子でまた筆者の友人でもあるエーヴィ―教授(Prof. Gordon A. Ewy)から「医学生たちが聴診を積極的に行おうとしなくなった」と嘆きの声を聞いた。2006年、Tavel は臨床医学教育者の間で聴診技術が著しく低下してきたとの声が上がってきたことを指摘している1)。聴診手技低下の原因が、指導者の能力に問題があるのか、或いは医師、看護師、医学生や医療関係者による臨床手技の習得不足にあるのか、また、聴診器自体の構造的な問題によるものかについて筆者は常に疑問に思っていた。

1)Tavel ME. Cardiac auscultation: a glorious past-and it does have a future! Circulation. 2006; 113(9):1256-1259.

臨床医学の本質とは何か、失われつつある聴診手技の重要性、そして毎日我々が診療で使っている聴診器が単なる医師のシンボルではなく、新しい臨床診断のツールとして、その価値を再発見する機会が必要である。その実現ために、聴診アプリ「オースカレイド」を活用して欲しい。 

 


ステップワイズ・アプローチ

1974年に髙階經和先生が録音したカセットテープからご紹介しています。当時神戸大学医学部で臨床診断学を教えていた時代に制作した心臓聴診の解説です。心音・心雑音のトレーニングにお役立てください。

【解説音声】ステップワイズアプローチ14 大動脈弁狭窄(AS)、大動脈弁閉鎖不全(AR)

大動脈弁狭窄および閉鎖不全の聴診です。収縮雑音に続いて拡張期雑音がステップワイズにアドオンされます。

【解説音声】ステップワイズアプローチ15 先天性大動脈弁狭窄(AS)

先天性の大動脈弁狭窄です。S1S2に続いて駆出性雑音がステップワイズにアドオンされます。

※ステップワイズアプローチは全31症例で構成されています。ここでは14~15を紹介させていただきました。


学術論文抜粋『聴診は必要か?』ー心内膜炎ー

(T. Anthony Don Michael, M.D.;Contemporary Internal Medicine:Vo.9,No.12, December 1997)訳 髙階經和先生

心内膜炎と右室側心弁膜障害の診断には聴診が有用である。右室側の心内膜炎は三尖弁部位から収縮早期、収縮中期雑音が吸気によって全収縮期雑音になることで判定できる。更に麻薬中毒患者で心雑音が変化するのは、弁膜への細菌感染があるためと考えられる。肺水腫のサインと原因不明の肺高血圧は肺塞栓が起こったことを意味する。肺動脈性心内膜炎では拡張早期雑音が吸気で増強するサインが見られる(注:吸気によって心雑音が増強するのは右室性のものであり、左室性の心雑音は変化しない)。

心雑音の性質が変化したり、新しい心雑音が聴かれるのは細菌性心内膜炎の典型的なパターンである。聴診器がなくても心エコー(適切に行われば)で、発熱や原因不明の心不全や脳卒中を併発していれば、細菌性心内膜炎と診断できる。しかし、通常の心エコー法では心臓内のvegitationを見つけることは難しくTEE(経食道エコー)が必要となってくる。

心電図と心エコーが、原因不明のS2奇異分裂や新しく出現した完全左脚ブロックや、第III度房室ブロックのある患者には、大動脈周囲膿瘍の診断には不可欠である。

S1が急に変化し、頸部にcannon sound(大砲音)や、拡張後期に心房音(S4)または拡張充満音を聴くことができる。これらの病変は、熟練した経胸壁エコーや経食道エコーによって診断できるが、身体所見や心電図によって、大動脈や膿瘍を形成している周辺組織の構造を心エコーで調べる前に臨床診断が下せるのである。

聴診だけでリウマチ性心疾患による急性心内膜炎の診断が出来るのである。柔らかなS1、心電図でPR間隔の延長と、心筋にリウマチ性変化が起こった際にみられる心膜摩擦音が、リウマチ性心炎の診断における重要な診断基準になるのである。


オンラインで学ぶフィジカルアセスメント学習システムiPax(アイパクス)

画面に表示された前胸部イラストをアイコン操作で聴診します。アイコンが移動した部位の聴診音が再生され、心音と肺音のON/OFFを切り替えることができます。また、心拍数を変更したり、脈の触診をしながら聴診することも可能です。

iPax紹介ページ


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