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心音聴診トレーニング「ステップワイズ・アプローチ」07

解説 髙階經和先生(公社)臨床心臓病学教育研究会理事長、髙階国際クリニック院長

1984年、筆者は先にマイアミ大学医学部のゴルドン教授(Prof. Michael S. Gordon) 等が開発した心臓病患者シミュレータ「ハーヴェイ君」1) を教育機器として日本に導入することが出来た。しかしカム装置の上に設置された全長2メートルの巨体である。重量が350キロもある巨体「ハーヴェイ君」を研修に応じて移動する事は容易な事ではなかった。しばしば研修中に発生するメカニカルトラブルに悩まされた。また「ハーヴェイ君」に付属する専用電子聴診器を使わなければ、オープンリールに入力された心音や心雑音を聴くことが出来ないという難点は、アナログ技術の限界であることを知った。

1997年、著者らはこの問題を解決するため、独自のデジタル技術とコンピュータ技術を応用して、研修参加者たちが自分の聴診器を使って聴診できる日本で初めての心臓病患者シミュレータ「イチロー君」の開発に成功した2)。「イチロー君」は今や国の内外で、大学医学部や医学教育機関において広くベッドサイド診察教育に使われている。

臨床医学の本質とは何か、失われつつある聴診手技の重要性そして毎日我々が診療で使っている聴診器が単なる医師のシンボルではなく、新しい臨床診断のツールとしてその価値を再開発したいと思っている。

1)Gordon MS. Cardiology patient simulator:Development of an animated manikin to teach cardiovascular disease, Am  Cardiology, 1974;34,350-355.

2)Takashina T, Shimizu M, Katayama H. A new cardiology patient Simulator. Cardiology 1997;88:408-413.


ステップワイズ・アプローチ

1974年に髙階經和先生が録音したカセットテープからご紹介しています。当時神戸大学医学部で臨床診断学を教えていた時代に制作した心臓聴診の解説です。心音・心雑音のトレーニングにお役立てください。

【解説音声】ステップワイズアプローチ12 僧帽弁閉鎖不全(MR)

僧帽弁閉鎖不全です。S1S2に続いて収縮期雑音、S3、拡張中期雑音がステップワイズにアドオンされます。

【解説音声】ステップワイズアプローチ13 僧帽弁狭窄(MS)

僧帽弁狭窄を解説します。S1が亢進しS2の後に開放音が聴かれます。続いて拡張期ランブル、前収縮期雑音、全区間性収縮期雑音がステップワイズにアドオンされていきます。

※ステップワイズアプローチは全31症例で構成されています。ここでは症例12~13を紹介させていただきました。


学術論文抜粋『聴診は必要か?』ーASD、VSDー

(T. Anthony Don Michael, M.D.;Contemporary Internal Medicine:Vo.9,No.12, December 1997)訳 髙階經和先生

Ebstein奇形は心房中隔欠損に随伴する。この奇形では僧帽弁閉鎖不全と三尖弁の大きな動きでS1が分裂してくる。三尖弁閉鎖不全に伴う全収縮期雑音がS2の固定性分裂に先行して聴かれるかも知れないし、それに短い拡張中期雑音が続く。この合併所見は心臓が(触診により)安静にしているときに起こり、ベッドサイドでEbstein奇形と診断することが可能である。心エコー検査は確定診断のために必要となる。

Roger型のVSD(小さな膜面部欠損)は、胸骨左縁にスリルを伴う大きな全収縮期雑音を示すので、それ以上の検査を必要としない。心エコー検査も必要としないし、患者のVSDが閉鎖するまで観察が必要である。その時点では、S1分裂が右室側のインパクトが強いため、所謂 “Wind sock sound”(S1分裂)が起こってくるかも知れない。S2は正常の生理的分裂を示す。



オンラインで学ぶフィジカルアセスメント学習システムiPax(アイパクス)

画面に表示された前胸部イラストをアイコン操作で聴診します。アイコンが移動した部位の聴診音が再生され、心音と肺音のON/OFFを切り替えることができます。また、心拍数を変更したり、脈の触診をしながら聴診することも可能です。

iPax紹介ページ


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