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心音聴診トレーニング「ステップワイズ・アプローチ」05

解説 髙階經和先生(公社)臨床心臓病学教育研究会理事長、髙階国際クリニック院長

近年、IT技術で代表される心エコー図、CTスキャンなど、ハイテク技術の医療面への導入により、聴診器は徐々に診断的医療機器としての重要性とその意義が失われているように思われる。今日の医学教育者たちは心臓や肺の聴診技術が衰退してしまったのではないかと大きな関心、疑念を寄せている1,2)。20世紀の中頃まで、臨床現場において最も大切だと考えられてきたのは、ベッドサイド診察法であった。そして今、聴診器の役割は何かを問われる時である。

筆者は、従来行われてきた心臓の聴診教育での標準的アプローチ(教育的講義、短時間のカセットテープによる研修や、ベッドサイド診察法のガイドブック、あるいはCD-ROMやDVDに入力された心音・心雑音を聴くという方法には限界がある事が分かった。

2017年、「身体診察で特に大切な聴診に特化したアプリを開発したい」と言うテレメディカ社からの申し出を受けその開発に着手した。2019年、その努力が報われ、素晴らしい聴診アプリ「オースカレイド」(Auscultation aide= Ausculaide)が完成した。このアプリは、従来のカセットテープやDVDでは再現できなかったリアルな音と、胸部画像の4つの座標(大動脈部位、肺動脈部位、三尖弁部位、僧帽弁部位)をタップすることでチェストピースがその場所に移動し、正常心音、異常心音・心雑音が再生されるため、聴診音だけでなく聴診部位と音の関係を学習することができる優れた教材である。

筆者はこの聴診アプリを「ポータブル聴診シミュレータ」だと考えている。このアプリにより、今まで困難と思われてきた聴診の自己学習が、何時、何処でも何度も繰り返し行うことができるようになった。

1)Marcus FI. The lost art of auscultation. Arch Intern Med.1999; 159(20) :2396.

2)Roy D, Sargeant J, Gray J, Hoyt B, Allen M, Fleming M. Helping family physicians improve their cardiac auscultation skills with an interactive CD-ROM. J Contin Educ Health Prof. 2002;22(3):152-159.

ステップワイズ・アプローチ

1974年に髙階經和先生が録音したカセットテープからご紹介しています。当時神戸大学医学部で臨床診断学を教えていた時代に制作した心臓聴診の解説です。心音・心雑音のトレーニングにお役立てください。

【解説音声】ステップワイズアプローチ8 収縮中期クリック音

収縮中期クリック音を説明します。S1S2に続いてクリック音がアドオンされます。クリック音に続く収縮期雑音も合わせてお聴きください。

【解説音声】ステップワイズアプローチ9 3音(S3)

S3を説明します。心尖部で聴診します。S1S2に続いてS3がアドオンされます。S4やサメーションギャロップもお聴きください。

※ステップワイズアプローチは全31症例で構成されています。ここでは08~09を紹介させていただきました。

学術論文抜粋『聴診は必要か?』ー心弁膜疾患ー

(T. Anthony Don Michael, M.D.;Contemporary Internal Medicine:Vo.9,No.12, December 1997)訳 髙階經和先生

弁膜性心疾患は他の様々な心疾患にも関連するもので、冠動脈疾患、拡張型心筋症やその他の心筋症などである。僧帽弁逸脱では、患者は普通、胸痛を訴えるが、Marfan症候群のサイン(細くて長い四肢、長い指、脊柱の変形(straight back)や、変形した耳など)を持っているかも知れない。診察により非駆出性クリック音や収縮期雑音が明らかになる。これらの身体所見は、患者の体位を変換させることによってより明らかとなる。仰臥位では解剖学的に心臓のサイズが大きくなり弁の閉鎖が遅れるため、クリック音や心雑音が遅れて発生する。座位またはValsalva(怒嘖)により(phase 2)、クリック音も雑音もS1に続いて早く発生する。一般には反対の意見もあるが、僧帽弁逸脱の診断を臨床的に付けることが出来ると考えている。心エコーはMarfan症候群のように伸展した大動脈のような関連した身体所見を診るのに有用である。

最後に人工弁を持っている患者では、内科的緊急状態(弁に血栓が出来たような場合)、弁の開放音や閉鎖クリック音が急に消失してしまう。血栓溶解療法や外科的処置を行わない限り、これは致死的なものとなる。


オンラインで学ぶフィジカルアセスメント学習システムiPax(アイパクス)

画面に表示された前胸部イラストをアイコン操作で聴診します。アイコンが移動した部位の聴診音が再生され、心音と肺音のON/OFFを切り替えることができます。また、心拍数を変更したり、脈の触診をしながら聴診することも可能です。

iPax紹介ページ


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