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心音聴診トレーニング「ステップワイズ・アプローチ」03

解説 髙階經和先生(公社)臨床心臓病学教育研究会理事長、髙階国際クリニック院長

1983年、筆者は「臨床の言葉」についての概念を提唱した1)。臨床現場で初めに患者が語る言葉を綿密に捉え推理を重ねることで臨床診断へと導いていく「医療面接」は「日常語」(spoken language)であり、そして患者が胸痛や苦痛などを訴える顔の表情や動作(ジェスチャー)が「身体語」(body language)、そして医師や看護師、医学生たちが、心音・心雑音や肺音、そして腹音などを聴診することは「臓器語」(organ language)である。これらを理解する事が必須であり、これが臨床における「3つの言葉」である。そして機会あるごとに「臨床における3つの言葉」を理解し、患者と対話する事が、医療者にとって不可欠なものである事を述べてきた。そして近年、ITやAIなどハイテク技術の導入により、臨床医の中には身体診察を軽視し、時には無視してしまう傾向が出てきたことは、誠に残念である。

初診患者に対して医療面接を行う前に、多くの病院では診察前に行われた検査結果が予めコンピュータに入力されているので、その画面上に表示された検査結果を見ながら一方的に話している医師が何と多い事か。更に視診や触診はおろか、聴診器を一度も患者に当てた事のない医師が多いと患者たちが指摘する。これでは診察手技の基本を全く習得していない事になり、医師としての基本的な「医師と患者とのコミュニケーション」を図ることはできない。身体診察の中でも特に重要なのは臓器語を理解すること、すなわち聴診である。

1)髙階經和. 臨床の言葉とは. 臨床心臓病学教育研究会誌、1981,(1) 1.1.

ステップワイズ・アプローチ
1974年に髙階經和先生が録音したカセットテープからご紹介しています。当時神戸大学医学部で臨床診断学を教えていた時代に制作した心臓聴診の解説です。心音・心雑音のトレーニングにお役立てください。

【解説音声】ステップワイズアプローチ4 心房音①

心房音を説明します。心房音は心尖部で聴取します。分裂幅の違いを聴いてみましょう。

【解説音声】ステップワイズアプローチ5 心房音②

心房音を説明します。心房音は心尖部で聴取します。分裂幅の違いを聴いてみましょう。

※ステップワイズアプローチは全31症例で構成されています。ここでは04~05を紹介させていただきました。

学術論文抜粋『聴診は必要か?』ー胸痛ー

(T. Anthony Don Michael, M.D.;Contemporary Internal Medicine:Vo.9,No.12, December 1997)訳 髙階經和先生

多くの「胸痛クリニック」(chest pain clinic)は標準化されていない。一連の臨床検査を行っているが、虚血性心疾患の診断に聴診を行っていない。狭心症の患者で心筋虚血を起こしている冠疾患を診断するのは、心尖部におけるS4と収縮期雑音である。また、頸動脈を圧迫したり、ニトログリセリンを投与すると直ちに胸痛も聴診所見も消失する。狭心症はこうして更に検査をしなくても診断できるのである。

心電図や血中酵素により診断される心筋梗塞において、聴診所見は心不全を起こしている場合測り知れない価値を与えてくれる。S3、4部リズム(S4,S1,S3,S4)、summation gallop (S1,S2,S3,S4)と両側の肺野におけるクラックル音は心不全や、その原因を決定するのに費用効果の良い診断法である。他の聴診所見は、合併症があるかどうかを決めるのに、極めて価値のあるヒントを与えてくれる。

胸骨左縁でスリルを伴なった全収縮期雑音は、急性心室中隔穿孔を示すものである。心尖部でS3を伴った収縮早期雑音は、急性僧帽弁閉鎖不全(中等度)を起こしている証拠で、心基部や背部の肩甲骨下部で聴かれる。心膜摩擦音は、心破裂を起こしかけていることの重大なサインである。


オンラインで学ぶフィジカルアセスメント学習システムiPax(アイパクス)

画面に表示された前胸部イラストをアイコン操作で聴診します。アイコンが移動した部位の聴診音が再生され、心音と肺音のON/OFFを切り替えることができます。また、心拍数を変更したり、脈の触診をしながら聴診することも可能です。

iPax紹介ページ


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